慈空庵

『死神』って何?

2025/07/28

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今から30年くらい前の話になりますが、とある方に

「生死を彷徨っている友人がいる。この友人の寿命が尽きたのであればやむを得ないが、出来ることなら何とかして助けてあげたい。仮にそれが呪いや祟りなどであっても、取り除けるものであれば取り除いて欲しい。」と頼まれ、「出来るか、どうかは判りませんが、確認させていただきます。」とお答えし、その方が入院されている病院に行ったときのことです。

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その方の病室は個室でしたので、他の患者がいないのは当たり前なのですが、その方が生死を彷徨っているというのに、家族の方も来ていないというのには違和感を覚えました。

そしてその違和感を反映するように、病室の中は静寂の中に無機質な生命維持装置の電子音だけが規則正しく響き、その音を纏うように大きな鎌を持ってたたずむ『死神』がいたのです。

私は元々が『退魔師』、キリスト教で言うところのエクソシストですので、死神を見た瞬間、条件反射的に『敵』と判断して戦闘体勢に入り、身構えたのです。

それを見た死神が私を押し止めるように片手を上げ、「お前、何か勘違いしていないか?」と言うので、私が「何を勘違いしているというのだ?」と聞き返すと、死神が「俺がここにいるから、こいつが死ぬと思ってないか?」と言うのです。私が「違うのか?」と聞き返すと、死神は「お前、馬鹿だねぇ~( ̄▽ ̄) 周りを良く見てみろ! 死にそうな奴は沢山いるが、全員に死神が付いているわけじゃないだろう」と言うのです。

よく見ると確かにその通りで、死を間近にしている方々の全てに死神が付いているわけではありませんでした。そこで死神に「お前達は何をしに、ここに来ているんだ?」と聞いたのです。

そうしたら死神が「俺たちが付いている奴をよく見てみろ! 何か気付かないか?」と言うので、注意しながらよく見ると、体の中に霊魂がいません。たぶん幽体離脱して、俗に言う『お別れ』というのに行っているように感じました。

それなので、死神に「霊魂がいないね」と伝えると、「だろ~う(^^) そこでここに仮に生き返りたいと願っている地縛霊や浮遊霊がやって来たとすると、ここにいる空っぽの肉体は格好の材料ということになる。そしてこの肉体が乗っ取られてしまうと、この人間は即座に死んでしまい、その後の人生は乗っ取った幽霊のものとなってしまう。そうなっては不味いので、そうならないように我々がいるのだ!」と言うのです。

なるほど!と思ったので、「さすが神様は違うね(^o^)」というと、死神は「貧乏神や疫病神は神だが、俺たち死神は神じゃない!」というので、「神様じゃないなら、いったい死神というのは何なの?」と聞くと、

死神は「俺たちは『天使』だ!」と胸を張るので、思わず「そんな馬鹿な! こんなブッサイクな天使がいるわけ無いだろう!」と言うと、死神が怒ったように「俺たちだって好き好んで『天使』なんてしてない! 役割だから仕方ないだろう!」と言い返してきました。

皆さまはどう思います?